いけばなの基本
2023.07.13
今朝は早起きをして、シトシトと降る雨の中蓮を鑑賞して来ました。花は足でいけろという言葉を先人が残していますが、切り花しか見た事のない植物よりもその地で根を張って朽ちてを繰り返している植物を観察した上でいける事が上達への近道だということは実感します。特に群生しているところへ赴いて観察すると、一度に若い芽から蕾、開きかけから満開、そして枯れた姿まで同時に見る事ができるので勉強になります。
生花正風体は扱う植物の成長過程を一瓶に表すものです。私は東京で育っているので、外に出て行かないとなかなか植物の群生地を目にする事が出来ません。不忍池の蓮は自然の中の池にあるものではありませんが、それとはまた違う趣があります。
不忍池の蓮の歴史
不忍池の蓮は誰が植えたのか明らかではないそうですが、延宝5年(1677年)に編纂された江戸雀という古書に
「涼しやと池の蓮を見かへりて誰かは跡をしのばずの池」
という和歌が掲載されていたそうです。しかし、現在の蓮はその頃からずっとある訳ではなく、第二次世界大戦時に池は水田として利用され、戦後に蓮池を復元する為に水を戻し蓮苗の収集と植え付けがされたので、今私達が目にする事が出来る蓮はこれらの品種が交雑したものと考えられているそうです。
話は戻りますが、絵図の写しの中に開葉、撞木葉(しゅもくば 開きかけの巻いた葉)、朽葉、浮葉、開花、蕾と少ない本数で蓮の成長過程が表されています。また、蓮は仏教と深い関わりがあり、過去、現在、未来の三世をあらわすと言われています。撞木葉と蕾が未来、開葉と開花が現在、朽葉と蓮肉(実)が過去にあたります。
写真2
写真1のように画面いっぱいの中に見て取れる開花、蕾、撞木葉などを少ない数で表現出来るのは蓮を熟知している証拠だとおもいます。また、写真2の開花の右奥に見える葉先が枯れた葉も生花に使われています。今日はそう言った事を自分の目で見た上でいけてみる事の大切さや面白さを再確認した1日でした。
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