2022.06.01
生け花は自分で花を生けるだけではなく、他の人の作品を鑑賞するのも楽しみ方のひとつです。
生け花を鑑賞することで、感性が豊かになりますし、自分とは違った発想で生けられた作品を見ることで、新しい発見もあります。
生け花には様々な花型がありますが、見方が分かれば生け花の理解もグッと深まります。今回は生け花の「鑑賞」に焦点をあてて、立花(りっか)、生花(しょうか)、自由花(じゆうか)それぞれの鑑賞ポイントをご紹介いたします。
初めてさんも参考にしたい!生け花鑑賞のポイントとは?
立花、生花、自由花と生け花の種類によって生け方が異なるように、鑑賞方法も異なります。
それぞれの鑑賞のポイントをおさえておくことで、作品の魅力を発見しやすくなりますよ。
「立花」を鑑賞するときのポイント
立花は正中線という作品の中心にある見えない線を起点として、前後左右に花や枝が広がります。
正中線を意識しながら鑑賞しましょう。
1.立花は正面から鑑賞して作者と同じ目線で楽しむ
立花を鑑賞は作品の正面から行います。
水際(草花と水の境目)から正中線を意識して目線を上げていくことで、作品全体を鑑賞することができます。
2.左右非対称の美を楽しむ
立花では「右長左短」「古今遠近」の非対称の美が尊重されます。
このアンバランスさは立花で楽しむことができる日本独自の美しさです。
作品の中心線を意識しながら非対称の美を楽しんでみましょう。
3.役枝を楽しむ
立花には9本の役枝が配置されます。
まずは役枝を9本探すところから初めてみるのも良いですね。
役枝はその名の通りそれぞれに役割を持っており、一本一本の役枝の重なり合いやハーモニーを楽しんでみましょう。
「生花」を鑑賞するときのポイント
生花は草花が持つ本来の美しさを表現する生け花です。
真(しん)、副(そえ)、体(たい)の3本の役枝と1〜3種類の草花で構成されます。
1.「数少なきは心深し」の究極の美を楽しむ
生花では、メインになる草花以外を省略することで、一本の花や枝が際立った作品を作ります。
ときには満開の花よりも一輪の花の方が勝ることもあるように、生花では少ない花材で美しさを追求します。
数少なきは心深しの考え方で作品を楽しんでみましょう。
2.空間を楽しむ
生花では、器は大地とされていて水際は命の出発点とされています。
水際の枝が一本になる場所が正面です。
正面に立って水際から目線を上げていくことで作品を空間をして捉えて楽しむことができます。
3.使用されている草花の数に注目
生花では一種生、二種生、三種生があり、それぞれ使用されている草花の数によって異なります。
生け花を鑑賞する際に、どんな種類の草花がいくつ使用されているのかに注目してみましょう。
一種生は出生美を、二種生は景観美を、三種生は融合美を表現します。
草花の種類を見ることで、作者の意図や感性を読み取ることにつながります。
自由花を鑑賞するときのポイント
床の間に飾ることを考えてつくられる立花や生花とは異なり、自由花はその名の通りフリースタイルに生けられる生け花です。
現在の私達の生活にも馴染む生け花であり、使用する花も生け方も自由です。
1.作者が伝えたいことを感じ取る
自由花には必ず「表現の狙い」があります。
作者はそれを伝えるために花の組み合わせや花器などに様々な工夫をしています。
作品への創意工夫から作者の想いを読み取ることが自由花の面白さでもあります。
2.表現方法を見つける
自由花には大きく分けて「植物の本来の姿を活かす」場合と、「植物のデザイン的な部分をクローズアップする」場合の二種類の生け方があります。
どちらの生け方がされているのかを見つけられるようになると鑑賞力がアップしますよ。
3.素材を楽しむ
自由花では植物以外の素材を使用することがあります。
例えば、アクリルや金属、ガラス、植物を加工した素材などを使用します。
花の表情だけではなく、使用された素材との組み合わせや花器の形や色なども合わせて楽しんでみましょう。
生け花鑑賞で感性を磨こう
今回は生け花鑑賞のポイントをご紹介しました。
他の人の作品を見ることで、自身の感性が磨かれ生け花のスキルアップにもつながります。
生け花展などで作品を見る機会があれば、今回のポイントを参考に作品を鑑賞しましょう!