2022.08.11
お盆の行事が続く八月は、ひと月を通してさまざまな花に彩られ、それはまるで夏から初秋の絵巻を見ているようです。
お盆の間、精霊棚には蓮の花・ミソハギ・鬼灯(ほおずき)など、この時季ならではの花が手向(たむ)けられ、送り火が焚かれるまでの間、浄土から戻られたご先祖様とともに花にかこまれて過ごします。
また、京都ではお盆に槙(まき)をいける習いがあり、華道家元がある六角堂でもこの時季にはいつもの白菊に変わり、槙がいけられます。
子どもの頃、盆月は実に楽しい期間で、帰省で久しぶりに会うイトコたちと寝るまで騒ぎ、盆提灯(ぼんちょうちん)に照らされるしつらえを見て「お盆とはこういうことなのだ」などと思っていたものです。
送り火が済み、二十三日になると、京都周辺の地域では地蔵盆が行われます。町内の地蔵堂に子供たちが集まり、一日遊んだあとは、大人達に交じって御詠歌(ごえいか)をあげ、数珠廻(じゅずまわ)しでお念仏を唱えます。
そんな中で眼にする、ろうそくの灯に照らされた鬼灯(ほおずき)は、夏の終わりを告げるとともに、夏休みの宿題の追い込みが始まる、ちょっと切ない風物詩でもありました。最後の一文は、あくまでも、私の場合ですが…
暮しの花手帖
2020年10月から2022年3月まで京都新聞発行「Iru・miru(イルミル)」に掲載されたコラム「京都暮らしの花手帖」(書き手:池坊総務所 京極加代子)の内容を掲載しています。