2022.09.15
小むずかし気な言葉をタイトルにしました。つまりは花をいけたら気が晴れるということです。もちろん、好きでいけばなを習い、花をいけるのが、華道の世界に身を置く人たち。とは言え、大きな声では言えませんが何となく気が乗らない日はあるものです。
心がそわそわしていたり、何かにぷんすか怒っていたりと、気が乗らない理由はいろいろとあるものですが、そんな気持ちを引きずりながらも花をいけていると、たいていの場合、いつの間にか心のうちが凪いでいることに気が付きます。
思うに、こうした心の浄化作用ともいえる働きは、自分の心がより強く集中するものに塗り替えられることによるのではないでしょうか。たとえそれが根本的な解決ではないにしろ、いったん冷静さを取り戻すことができ、感情に振り回されずに自分を保つことができるのかもしれません。イライラして八つ当たりしてしまったり、ヤケ喰いをしたりするよりも、手前味噌な話のもっていき方ですが、実に美しいもやもやの解消法です。
いけばなに限らず、道の世界は技の修練だけでなく、心の修練も必要なことは知られています。道の世界に飛び込み、身に付くものは技だけではないのです。
暮しの花手帖
2020年10月から2022年3月まで京都新聞発行「Iru・miru(イルミル)」に掲載されたコラム「京都暮らしの花手帖」(書き手:池坊総務所 京極加代子)の内容を掲載しています。