2023.01.13
意外とご存知ない方もおられるのですが、池坊の家元は六角堂の住職でもあります。そのため、華道家元の年の瀬は、執事を筆頭に境内諸仏のお身拭いや注連縄・鏡餅などの正月飾りのしつらえが恒例となっています。
街中の決して大規模ではない境内とはいえ、やはりお寺です。縄の長さやお餅の大きさは一般家庭のそれとは桁違いに大きく、お飾りの付け方も少々複雑で、伝統のお飾りを覚える良い機会となっています。お飾りが整うと鬼門の社で執事の読経があり、正月飾りは締めくくられます。
そして大晦日の夜、近隣にお住まいの方々が除夜の鐘を突きに来られます。鐘の音が響く中、境内では住職である専永宗匠を筆頭に修正会が執り行われ、新たな年を迎えます。
年が改まると、お寺の行事から一転して華道家元としての行事「初生け式」が、正月五日に行われ、家元・次期家元の花が披露されます。また、全国から池坊の門弟も参集し、銘々に花をいけて一年の精進を誓います。この様子は、例年テレビのニュースで報じられますので、ご覧になったことがあるかもしれません。
仏様とお花は縁が深いものですが、華道家元の年末年始はいつも以上にそのご縁を感じさせます。
暮らしの花手帖
2020年10月から2022年3月まで京都新聞発行「Iru・miru(イルミル)」に掲載されたコラム「京都暮らしの花手帖」(書き手:池坊総務所 京極加代子)の内容を掲載しています。