2022.10.22

海外で人気のある日本文化と聞いて思い浮かべるものは、マンガや和食、歌舞伎や茶道等数多くありますが、生け花もその1つです。
今回は海外での生け花事情についてご紹介します。
海外の方にとっての生け花
最近は外国人の旅行者の間でも、温泉を楽しんだり花火や地域のお祭りに参加したりするなど、日本文化を体験することに人気が出ていますが、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことなどもあり、海外でも日本文化が広がりを見せています。
生け花も以前から海外で学ぶ人たちがいましたが、最近はアジアを中心に人気が出ています。
日本には古くから生け花の文化があり、家の中に花を飾る習慣がありましたが、ヨーロッパなどにもフラワーアレンジメントの文化があり、家や店内に花を飾る文化がありました。
海外での生け花の成長と伝え方
海外の主流であるフラワーアレンジメントは、足し算の美といわれ、花や葉で空間を埋めるように形作っていきます。一方、日本の伝統文化である生け花は、引き算の美や余白の美ともいわれ、空間を埋めるのではなく、むしろ花と花の間に何もない空間を作ることも大切にします。
生け花は日本で生まれましたが、美しく開いた花だけでなく、蕾や色づいた葉、枯れた枝など、植物の様々な姿に命の輝きを見出す美意識や、それぞれの植物の個性を生かして一つの作品にまとめていくスタイルは、民族や国籍を問わず共感できる考え方として受け入れられています。
盛り上がりをみせる海外
池坊には、アメリカ、カナダ、南米、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オーストラリアなどに約120の拠点があり、世界中で学ばれています。
現地では生け花教室で学ぶだけでなく、池坊から派遣された講師による研修会や講習会も開催されていて、日本の生け花を海外でも学べる機会が設けられています。
池坊では生け花を正しく伝えていくために、英語や中国語で免許状や花伝書を発行するなど、日本文化の国境を越えた広がりに対応しています。
世界での生け花の普及活動とは?
生け花の魅力を伝えるため、世界各地でさまざまな活動が行われています。
池坊の海外の会員による生け花展が開催されたり、各国の日本大使館や領事館で開催されるイベントなどでは、生け花のデモンストレーションや生け花の体験会などが催され、現地の方にも参加していただいています。
また、花博などの国際園芸博覧会の日本館では、会期中、様々な流派の生け花の展示が行われ、日本の生け花の紹介がされています。池坊でも池坊専好次期家元が作品を展示するなど、海外での生け花のPRに協力しています。
世界の人を繋ぐ生け花
2022年には池坊の海外会員が参加するインターネットコンクールIkenobo World Cupが行われ、176件の応募がありました。
国や国境を越え、自然を敬い、あらゆる生命を尊重し、人の繋がりを大切にする生け花の心が世界中で広がっています。
ぜひ、あなたも生け花を始めてみませんか。
