2021.06.18
生け花では、花だけでなくどんな花器を選ぶのかも重要です。
組み合わせ次第で雰囲気がガラッと変わるので、花器の種類や選び方を知っておくと、生け花をより楽しめるようになりますよ。
今回は、生け花で使う花器の種類と選び方をご紹介します。
生け花で使う花器にはどんな種類がある?
まずは花器の種類をご紹介します。
素材別に見る花器の種類
花器には、陶器、磁器、ガラス、木製、竹製、銅、鉄、ステンレス、アクリルなど、様々な素材があります。
陶製・磁器製の花器
陶製や磁器製の花器には、清水焼や信楽焼、萬古焼、有田焼など日本を代表する産地のものも多く、色や形も多くのバリエーションがあります。
土の質感を楽しむものから釉薬の色合いが美しいもの、筒形・壺形・水盤など、形がシンプルなものから個性的ものまで、いろいろあります。
サイズもちょっとしたスペースに飾れるミニサイズのものから、生け花の大作用のものまで、花器の素材の中でも一番種類があります。
ガラス製花器
ガラス製はガラスの透明感とガラス特有の光沢が美しい花器です。涼し気な印象は夏の生け花にもぴったりです。
透明の花器の場合は水に浸かっている茎の部分も見えるので、ゴチャゴチャとした印象にならないよう、スマートに生けるように気をつけたいところ。
ガラス製はカラーも豊富なので、ポップな色の花器にビビットな色のお花を合わせるなどチャンレジしてみるのも楽しいですよ。
竹製花器
昔からカゴやザルといった生活雑貨の素材として日本人の生活になじみのある竹。もちろん花器の素材としても使われてきました。
竹製の花器の良さは使い込むほど味わいが出てくるところ。風合いある竹の花器に朝顔やキキョウなどの草花を合わせると、ナチュラルな雰囲気を演出できますね。
使った後は直射日光を避けて風通しの良い場所で乾かすなど手入れは念入りに。丁寧に扱えば長く使えて、経年で変化する様子を楽しめる、育てる花器です。
銅製花器
銅製花器には独特の重厚感と品格があり、伝統的な生け花に使用される器で、花器としての歴史も古いです。複雑な装飾が施されたものから、吊って使う月形のものなど、鋳物ならではの美しさがあります。
江戸時代の池坊専好(二代)の銘をが付く銅製花器など、歴史によって洗練されたデザインは、現代的な生け花を生けてもモダンに仕上がります。
使用後は錆びがつかないようにしっかりと乾燥させるなど手入れに気をつける必要がありますが、華道を学ぶ人には憧れの花器でもあり、いつかは手にしたい花器の1つです。
色別に見る花器の種類
花にもいろんな色があるように、花器の色も種類が豊富です。
色合いも明るいものから落ち着いたシックなものまでさまざまです。生ける花と同系色で合わせるのか反対色で合わせるのかでも、作品の雰囲気は変わってきます。花の色と花器の色、組み合わせを考えるのも楽しいですね。
反対に白や黒などモノトーンの花器は、どんな色の花とも合わせやすいので1つ持っていると便利です。ひと口に”黒”といっても、マットなのか艶があるのかによっても印象が違います。シンプルだからこそ質感にも気を配りたいところです。
花器の色は、使用する草花の色とちぐはぐにならないように、花とのバランスや調和を考えて選ぶことが重要です。
池坊フラワーショップ花楽では、色の種類が豊富な「フリーラ」シリーズを販売しています。
形別に見る花器の種類
花器は、筒形、壺形、水盤、深鉢など形もいろいろです。
池坊では、立花(りっか)、生花(しょうか)、自由花など花型に合わせて花器を選びます。
立花は深鉢型や下蕪(しもかぶら)型のものなど、生花は筒形や水盤型のほか、壁に掛けて使うものもあります。自由花は特に決まりはありませんので作品のイメージに合わせて花器を選びます。変わった形の変形花器などを使って表現の幅を広げてみるのも面白いですね。
花器との組み合わせで作品のイメージが変わりますので、どの花器を使ったら花を一番美しく見せられるのか、どういうイメージの作品を生けたいのか、生ける前にしっかり考えて選びましょう。
お家に飾る時の花器選び
花器の素材や色、形についてご紹介しました。ここからはご自宅で飾る時の花器の選び方をご紹介します。
あなたがお花を飾りたい場所はどこでしょうか?リビング?それとも玄関?キッチンなどの水回りもグリーンやお花がさりげなくあると素敵ですよね。
好みのインテリアに合わせて花器を選びたいところですが、サイズや高さなど気をつけておきたいポイントがあります。
1.飾る場所に合わせる
キッチンカウンターやリビングボードなど奥行きがあまりない所には、大きな水盤などは置きづらいですね。そういう場所には筒形や横長タイプなどの方が使い勝手が良いでしょう。
リビングなどは立った時と座った時で目線が変わるので、生け花をどこから見るのかも意識して花器を選びたいですね。
玄関に花が生けてあると”キチンと感”が増しますね。お客様が来られる際などはお迎えする気持ちを花で表現したいところ。置く場所が無いという方は壁に掛けるタイプの花器などを使ってみては?
気をつけておきたいのは花器の高さ。お客様の目線に合うように、花を入れた時にちょうど良い位置を選んでくださいね。
2.狭いスペースには小型の花器
キッチンなどの水回りのちょっとしたスペースにお花が生けてあると、毎日の暮らしの中で、ふとした瞬間に目に入って癒されますよ。ついつい散らかりがちな場所ですが、日用品をちょっと片付けてあいたスペースにお花を生けてみませんか?
日常よく使う場所だからこそ、使う花器は邪魔にならない小瓶やミニ花器、割れにくいアクリル花器など、気軽に使えるものから選ぶのがポイントです。お花の特等席ができれば散らかり防止にもなるかも⁉
お気に入りの花器を見つけましょう
今回は花器の種類と選び方について解説しました。
花器は生け花の道具の中でも一番種類が豊富です。いろいろと迷ってしまいますがお気に入りの花器であれば、きっと出番も多いはず。まずはどこに生けたいか、どんな風に生けたいかを考えて、あなた好みの花器を探してくださいね。