伝統文化
2021.02.10
池坊華道には力があります。いけばなを始めてきちんとした生活を手にしよう。
ホームページがリニューアルされ、教室案内を掲載している先生がコラムを書くことが出来るようになりました。このことは素直に嬉しいと感じるとともに、多くの日本各地の先生方に認知され活発に更新されることを願います。
ここは本来、教室の雰囲気等を書く場かもしれませんが、感じたことを書いてみます。
先日、池坊東京会館での東京セミナーの専科指導を担当しました。2年制全12回のうちの11期、実技指導の最終回です。一昨年の募集でスタートした今回の東京セミナー専科は3クラス90名近くいたはずですが、緊急事態宣言の発令で、地方からの参加やご高齢の方は遠慮されたのでしょう。大変人数が少なくて少々驚きました。けれども当日参加者は4日間共大変熱が入り、講師として納得の授業となりました。
そして授業後もいけばなスキルの、社会への生かし方について質問を受けました。皆、花をいける腕をどこかで生かしたいのです。
私は家元から教学委員の委嘱をうける直前まで、教室運営とともに飲食店のいけ込みや個人宅へ花をいける事を仕事にしていました。コラボレーションやイベントの大きな花も得意分野です。
私は学生時代に池坊いけばなに出会い、卒業後はデザイナーとして就職したのち、池坊いけばなの価値にのめり込みました。そしてこれを仕事に出来ないかと(自分としては花代位でも稼いで勉強の足しにしたいと)思ったのです。
そしてついに、私は親の反対を押し切ってサラリーマンを辞め、いけばなを仕事に再出発しました。それもこれも自分がほれ込んだ池坊いけばなは、皆が欲しがるに違いないと思ったからでした。
その後の花をいける仕事は大変厳しく、また大変たのしい日々でした。いまでこそ中央研修学院の先生ですが、皆さんと同じく修行の時代があります。いくつも決断の岐路を越えてきました。
これはまた、機会があれば話しましょう。
いけばなは作品が残らないため、依頼してくれたお客さんにとっても今いけているものが枯れれば、次を頼まなければ失われたままです。
こちらも、作り続けなければ今見る作品の一つもありません。
残念なようでこれは、永遠に成長できるツールを手にしたことになります。
自分ひとりの人生は簡単には完成しません。
考えているのなら、いつ始めるかではなく早いスタートが吉ですよ。